ごあいさつ

この度、葛谷英嗣先生ご退任をうけて日本糖尿病情報学会の理事長に就任致しました。本学会の一層の発展のために尽力する所存ですので、何卒ご支援を賜りますようお願い申し上げます。

最近の医療情報の進歩には目を見張るものがあり、糖尿病の複雑な病態解析に対してもメガデータへの取り組みが始まりました。実診療の分野においても、医療情報に関するテクノロジー活用は診療スタッフと患者の双方にとって大きな利便をもたらしています。血糖値の測定機器の精度は大きく向上し、血糖変動の日内推移も簡単にモニターできるようになりました。インスリンの持続注入機との連動も臨床で応用されています。療養指導のツールやタブレット端末を活用したアプリケーションも多彩となりました。一方で、エビデンスが不確かな健康情報も氾濫し、収益性に偏った活用も懸念されるようになりました。患者やその家族が第一となるように検討するシステムも大事です。

治療薬についても、新しい作用に基づく薬剤が矢継ぎ早に登場しています。これらが診療で大いに貢献するためには、drug informationが適切に周知されることが必要です。多分野の連携への参画は益々求められており、調剤薬局や製薬企業も例外ではありません。複合的な情報ネットワークの整備によって個々の職域の狭間を埋めることができれば、その結果として高次の医療連携が望めます。
本学会の趣旨は、糖尿病に関する最新テクノロジーについて、医療スタッフ、患者と家族、テクノロジー開発者等が、それぞれの立場から適切な治療の実践や療養指導の支援を通じて、糖尿病の発症や進行の予防、患者の生活質の向上を目指すことにあります。一方で、実際の糖尿病診療は、多くの診療科や職域を超えたチーム医療と患者の自己管理に負うところが大きく、「ひと」と「ひと」の直接の繋がりに基づいたアナログ的な情報リンクも欠かせません。

我が国は未曾有の超高齢社会を迎えています。過疎地のみならず都市部においても高齢化の進展は深刻な社会問題であり、当然のことながら糖尿病や重篤な合併症の有病率も高くなっています。一方、糖尿病専門医や療養指導士は必要数に程遠いのが現況であり、多くの地域が固有のニーズに合った連携システムを模索しています。行政や介護団体の参画も大事です。地域を巻き込んだチーム医療の再構築とその質向上はまさに本学会の新たな目標と言えます。
情報創成、情報連携、情報活用の新しいかたちを求めて、本会が職域を超えて議論できる次世代型の学術グループになればと祈念致します。

プロフィール

理事長 武田 純(昭和27年生)
昭和55年 京都大学医学部卒
京都大学医学部附属病院 内科研修医
昭和56年 倉敷中央病院 内科医員
昭和63年 京都大学大学院医学研究科博士課程修了
京都大学医学部附属病院 内科医員
昭和64年 京都バプテスト病院 内科医員
平成 元年 シカゴ大学ハワードヒューズ医学研究所 研究員
平成 4年 シカゴ大学生化学・分子生物学部門 講師
平成 6年 シカゴ大学医学部内分泌部門 講師、助教授
群馬大学生体調節研究所遺伝子応用分野 助教授
平成 9年 群馬大学生体調節研究所遺伝情報分野 教授
平成15年 岐阜大学医学部第三内科 教授
平成16年 岐阜大学大学院医学系研究科内分泌代謝病態学 教授

主な研究領域

「インスリン分泌不全に関する分子遺伝学」

「糖尿病の地域医療ネットワークの構築」

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