ごあいさつ

理事長 金澤康徳
プロフィール
  • 1935年 生まれ
  • 1961年 東京大学医学卒業
  • 1985年 東京大学講師
  • 1988年 自治医科大学教授
  • 現在
    自治医科大学名誉教授、医学博士
主な研究業績
  • インスリンラジオイムノアッセイ法の開発、1966年
  • 膵島細胞の単層培養法の確立、1973年
受賞歴
  • 日本糖尿病学会ハーゲドーン賞など多数

現代社会において糖尿病患者は爆発的に増加し、糖尿病はまさに流行性の疾患として位置付けるようにすらなってきています。WHOの推計は世界の1994年の糖尿病患者数は1.1億人でありますが2010年には2倍以上の2.4億人になるとし、糖尿病は世界的な健康問題であると指摘しています。その増加はアフリカ、インド、東アジアで特に著しく、発展途上にあるこれらの地域の国々では保健対策の第一に挙げられています。わが国では1997年の国民栄養調査の際にHbA1cを指標として当時の厚生省により糖尿病調査がなされました。

その結果糖尿病を強く疑われる者(疫学的にほぼ糖尿病という範疇に入る者)の数690万人、糖尿病を否定し得ない者(耐糖能が完全に正常とはいえない者)680万人という数字が出されました。さらにその後の推計では2010年には糖尿病者数が1,000万人を超えるとされ、まさに日本は糖尿病列島といってもよい状態であることを裏づけました。


糖尿病は発症の背景となる素質と誕生以来の生活習慣の集積によって出現してくる病態であります。自覚症状が乏しく、病態が出現しても血糖値の検査をしなければ発症に気付くことも無く、診断されても多くは病識もありません。感染症のような病気は特定の病原体があり、その病原体の感染により一定の症状を表すので患者は特定の疾患と診断され治療されます。当該病原体が治療により排除されれば治癒して疾患についてはそれ以降心配することは無くなります。しかし糖尿病は病態が正常化しても生活習慣が再度糖尿病の出現に好ましい環境を作り出すと何時でもその病態が現れてきます。すなわち治癒という概念が適応されない疾患であります。その意味では高血圧などのいわゆる他の生活習慣病と類似しています。


20世紀末から21世紀初頭である現在にかけて多くの人々の関心は健康問題であります。この問題はマスコミでも多く取り上げられ、一方大衆薬、健康食品、いわゆるサプリメント等の市場は数兆円にも上るといわれています。これらの宣伝の少なくとも一部は商業主義の毒を国民に振り撒き健康の知識特に糖尿病の知識を著しくミスリードしつつあるのではないかと考えます。

正しい知識を国民の間に広く普及させるのには健康を糖尿病等の生活習慣が関与する疾患についての適切な教育ツールが容易に利用できる環境とそれを供給するシステムの存在が必要であります。Information Technologyを用いた糖尿病教育資源の普及はその重要な方法の一つとして現在最も求められているものと思っています。ITは大変に有用な方法であることは間違いありませんが、また多くの問題点を抱えています。良質な情報も間違ったものも一緒に並べて区別せずに提供してしまう可能性があります。取り扱い方によっては折角良い教育ツールを作ってもその知的所有権が侵されやすいこと、情報の利用者のプライバシーも侵される可能性があること等がそれであります。


日本糖尿病情報学会はこのような環境のもとにNPO法人として設立されることになりました。日本糖尿病情報学会に蓄積される教育資源は皆様の共有財産であります。日本糖尿病情報学会の事業をご理解いただき、一層のご支援を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。


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